昨日、とある地主様からご相談をいただきました。
その方のご家族が所有している土地を、80年ほど前に貸し出したまま、今は借主さんのお子さんが住んでいるというケースです。
土地は地主様の名義ですが、建物は借主側の名義。いわゆる「借地契約」です。
一見すると「もう80年も経ったから、そろそろ契約は終わるのでは?」と思われがちですが、実はそう簡単ではありません。
旧借地法が適用される契約では、借主の権利が非常に強く守られており、地主側から「出て行ってください」とお願いしても、正当な理由と立退料(補償金)がなければ明渡しを求めることはできないのです。
このため、地主様が「土地を更地にして売却したい」と考えたとき、選択肢は大きく2つ。
- 立退料を提示して借主と交渉する
- 借地権が付いたまま(土地価格は下がりますが)底地として売却する
という流れになります。
今回のケースでも「子どもに綺麗にして相続させたい」という強いお気持ちがありましたが、借地関係を整理するには相応の時間や費用がかかることを丁寧にお伝えしました。
借地や底地の問題は、契約期間が長く、相続にも絡みやすいため「ごねたもの勝ち」と感じてしまうこともあります。
しかし、正しい知識と準備を持って進めれば、円満に整理する道もあります。
不動産は「買う・売る」だけでなく、昔からの契約をどう扱うかも大切なテーマ。
皆さんもご家族の土地について、もし似たようなケースがあれば、早めに整理の方向性を考えておくことをおすすめします。